顎関節症の原因は様々といわれていますが、ほとんどの場合、かみ合わせが関与していると考えています。
顎関節症で通常の歯科医院を受診した場合、マウスピースなどの対症療法が多いと思います。
また、矯正歯科治療を希望された場合、患者様が顎関節症とわかると、先延ばしにされてしまう場合があります。
しかし、当院では、かみ合わせが原因の顎関節症は、すぐにでも治療が開始されるべきであると考えています。
そうでなければ、顎関節症はさらに悪化してしまうからです。
さらに、口腔外科で、手術によって解決することを勧められたりすることもありますが、顎関節症の多くは、かみ合わせの治療で解決できます。
当院では、なるべくマウスピース(スプリント)を使用しなくて済むように、原因である、かみ合わせから解決する治療を実践しています。一度、お気軽にご相談下さい。
顎関節症の3大主症状は、開く時痛い、音が鳴る、口が開かないです。これらの多くは、かみ合わせが悪く、主に奥歯が、無駄にあたって、前歯と顎関節の中間でてこの支点となり、顎関節をシーソーのように上下に揺さぶることが原因となっています。
初期は、筋肉症状の痛みだけです。中期は、軟骨がズレて、音が鳴り始め、顎関節の動きを阻止して口が開かなくなります。
後期には、座布団である軟骨の位置がズレたことにより、顎関節の表面骨が変形していきます。
さらに、首の筋肉にも症状が現れることも多く、首がまわらない、痛む、こり、痺れなどが生じます。
これに関して、原因が、かみ合わせだと気付かずに、整形外科を受診し、頚椎症と診断され、首に何回も注射を受けたり、毎日、リハビリに通ったりしているケースもあります。
しかし、原因はかみ合わせにあることが多いです。
顎関節症をかみ合わせで治療することは、歯を失うことの直接的な予防になり、長持ちにつながります。歯や歯周組織、顎関節への負担を消失させ、あごや頚部の筋肉のバランスも整います。
かみ合わせと顎関節症(TMJ症候群)の関係は密接です。なぜなら、奥歯の存在は、下あごの垂直的高さをキープして顎関節を保護しています。もし、奥歯が無ければ、顎関節は、奥歯のストップが無いため、嚙む時、筋肉の力で頭蓋方向へ過度に圧迫され、顎関節を破壊します。一方、奥歯が高ければ、その歯は、前歯と顎関節の中間で、てこの支点となり、シーソーのように顎関節を上下に揺さぶり、やはり、顎関節の構造(軸)を破壊します。
頭部の重さは、ボーリングの球と同等の重さがあり、これを正しく支持するには、身体の中心を基準に、左右対称に歯やあごを配置する必要があります。上あごの平面が傾斜していたり、下あごの位置が非対称性の場合、頭部の重さは、そのまま、姿勢や肩こり、お顔の表情、口元のゆがみなどを引き起こす場合があります。
ドアの軸が壊れて、真っ直ぐ閉じなくなる場合があります。ドアの枠の隅にクギが落ちている状態で、無理やりドアを閉じると、ドアの軸に負担が生じ、軸は緩み、パッキンはズレ、シャフトを壊します。一方、顎関節も軸そのものであり、ぶつかる奥歯があると、私達は無意識に噛みやすい位置に、下あごをズラして対応します。しかし、長い間、下あごをズラして閉じていると、筋肉は不調和で痛み、パッキンである軟骨はズレて、シャフトである顎関節の骨が変形します。ドアの軸も顎関節(軸)も、その軸をズラす邪魔物があると、壊れるメカニズムは一緒です。
顎関節(軸)で閉じると、ぶつかる奥歯は、ドア枠に落ちているクギと一緒です。クギがある状態で、力を入れて無理矢理、閉じると、クギは変形しますが、ぶつかる奥歯には、痛み、破折、歯周病の進行という変化で現れます。クギが変形せず、歯が割れたり、揺れたりしない時期は、このクギやぶつかる奥歯を支点として、ドアを閉じる度、噛む度に、ドアや顎関節(軸)を揺さぶり続け、その軸(顎関節)を破壊します。
奥歯には凹凸があるため、この凹凸がしっかりはまり込むことで、かみ合わせが安定し、矯正歯科治療後の後戻りを予防します。
また、安定した奥歯のかみ合わせの高さは、前歯や顎関節を保護しています。
歯ぎしりは、食物のすり潰しに関連するので、奥歯がぶつかり続けるのは当然と皆様は、想像するかもしれません。
しかし、理想的には、歯ぎしりする時、奥歯がぶつかるのは、真っ直ぐ閉じた位置に戻ってきた時だけなのです。もし、ぶつかる奥歯があると、横殴りの力で、上下の奥歯同士が互いに破壊し合います。そして、歯周病や破折を引き起こし、1本の歯を失っても、ぶつかる奥歯が無くなるまで標的の歯を変えて、根こそぎ奥歯を喪失させます。また、奥歯がぶつかった時は、前歯と顎関節の中間で、てこの支点となり、顎関節を上下に揺さぶり、顎関節の構造も破壊します。
例えば、おろし金や、すり鉢など、他方が、やわらかい野菜やゴマであれば、安全にこすり合わすことができますが、凹凸のある、せともの同士や、金属同士をすり合わせれば、傷害的に作用することが予測されるます。奥歯がぶつからないためには、歯ぎしりした時、前歯が、常に、あたり続けることが大事です。なぜなら、これは、前歯が奥歯を守る機能だからです。
前歯には凹凸はなく、噛む力も、奥歯より弱いということが、前歯が奥歯を守る上で都合が良いのです。
薬物療法
痛み止めや筋肉の緊張を緩める薬
物理療法
温熱療法や超音波治療
マウスピース療法
装着時は、顎関節の軸で噛める。マウスピース全体で、均等に噛める。
生活習慣の改善
ストレスの軽減、正しい姿勢の維持、顎を酷使しない
外科手術
症状が重く、他の治療法で改善が見られない場合。(手術をしても原因のかみ合わせの改善がなければ、単なる、対症療法になってしまいます。)
患者様の歯が、すべて残っている場合
歯科矯正治療+かみ合わせの調整 or かみ合わせの調整のみ。
患者様の歯が、ほとんど残っている場合
歯科矯正治療+歯科インプラント治療+かみ合わせの調整。
患者様の歯が少ない場合
テレスコープ義歯(ドイツ式義歯)or 歯科インプラント治療。
患者様の歯がない場合
総義歯(シュトラックデンチャー)or 歯科インプラント治療。
上記のどの治療方法を用いるかは、咬合機能検査の結果と患者様との相談の上、決めさせて頂きます。
かみ合わせの機能は、かみ合わせの力から歯とあごを守るためのルールに従って初めて発揮されます。
このルールは、「Organic Occlusionオーガニック・オクルージョン」と呼ばれています。
当院では、このルールに則した診断、治療を行っています。
顎関節症の原因を詳しく調べるため、まず、お口の開き具合や痛みのある場所など、気になる症状について詳しくお伺いします。その後、顎関節や筋肉の状態を触診し、さらに、専門的な器具を用いて、噛み合わせの状態を精密に検査します。これらの検査結果を総合的に判断し、お口の状態に合わせた最適な治療法をご提案いたします。
検査結果に基づき、「Organic Occlusionオーガニック・オクルージョン」のルールに従い、かみ合わせに大きな改善が必要な場合は、矯正歯科治療と噛み合わせの調整を行います。
これにより、顎関節症の原因になっている、悪い噛み合わせを改善し、歯と顎の機能を正常化します。
一般的に矯正治療で移動した歯は、本来の正しい位置(顎関節の軸)で閉じると、同時に同じ強さで接触していないことがあります。そのため、最終的なかみ合わせの調整はエナメル質の範囲内で、1mm前後のエナメル質をピンポイントに削り、すべての歯の接触バランスがぴったりと合うように調整します。当院では咬合器を使用し、ゴールを明らかにしてこの作業を行なっています。
当院では、一生に一度の顎関節治療、矯正歯科治療、かみ合わせ治療を通して、歯の長持ち、予防を目指してします。
かみ合わせを精密に調整することで、理想的に奥歯の力をコントロールして、歯や歯周組織の負担を軽減し、将来的な歯のトラブルを未然に防ぎます。これにより、自信を持って笑顔で過ごせる毎日をサポートします。
歯の欠損が多い場合は、新義歯を作製し顎関節の本来の軸に配慮した正しいかみ合わせを作ることで改善を目指します。
歯が、部分的に残存している方のための入れ歯です。
日本の保険の義歯のように、針金がありません。日本の保険の義歯は、特定の歯に、針金をかけるので、その歯が経時的に歯周病になっていきます。
ドイツ式テレスコープ義歯は、残っている歯はすべて入れ歯の中に入るので、かむ力が垂直的にかかり、残りの歯に負担がかかりません。
また、歯の全体的な色の統一をすることができるので、見た目を、美しくできます。
欠点としては、残存している歯は、全体的に削る必要がありますが、残りの歯が、仮に抜歯になったとしても、入れ歯の中の歯なので、入れ歯を作り直す必要がありません。一度、作ったら一生涯に渡って、修理をしながら、継続してお使い頂くことができます。一生に渡って物を大切に使う、合理的なドイツ人ならではの発想です。
義歯により改善されたスマイルデザイン
上下のあごを同時に型取りする方法です。
これにより適切に口腔周囲筋の支持によって、入れ歯が保持され、安定します。
また、かみ合わせに精通した当院の技術により、顎関節の本来の軸と調和したかみ合わせとして完成します。
患者様:64歳、女性。
口が指2本分くらい(27mm)しか開かない。口を開けると右の顎関節が痛い。
また、下あごを右に動かすことが、痛みで十分できませんでした。
スプリント治療を1年半続けましたが、症状の改善が認められず、咬合機能検査を行いました。
すると、姿勢では、左肩が下がっていたり、あごが上がっていたりと異常が認められました。
また「Organic Occlusionオーガニック・オクルージョン」のルールをみると、顎関節の軸で口を閉じた際に、ぶつかる奥歯がありました。治療は、「かみ合わせの調整」のみを行い、すべての歯が同時に、同じ強さで、接触するように調整しました。(実際には、過高な右5番目の歯を中心にエナメル質の範囲内で1mm前後の歯質をピンポイントに調整することにより右5番目の歯が、てこの支点になって、シーソーのように顎関節を揺さぶるのを防止しました。)すると、8か月後のある日、魔法のように患者様の症状は消失しました。
かみ合わせが、単なる歯の接触ではないことが理解できます。
治療期間 | 8か月 |
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費用 | 80万円 |
一見、見た目は問題がないように思われた。
多くの歯が、かぶせの治療を施されていた。
顎関節の軸で、口を閉じると、右にぶつかる奥歯が発見された。この歯が、てこの支点となり、シーソーのように顎関節を揺さぶっていた。
ぶつかる奥歯のため、前歯が閉じていないのがわかる。前歯でもっと噛もうとすると、シーソー現象が生じる。
検査の結果、患者様のご年齢を考慮して、矯正歯科治療は行わず、ミクロン単位のかみ合わせの調整だけで治療しました。
すべての歯が同時に、同じ強さで接触するように調整しました。実際には、ぶつかる右5番目の歯を中心にエナメル質の範囲内で1mm前後の歯質をピンポイントに調整することにより右5番目の歯が、てこの支点になって、シーソーのように顎関節を揺さぶるのを防止しました。
上下の歯の間に隙間があり、タイトに噛んでいない。ぶつかる奥歯のため、かみ合わせが、浮いている状態。
右の奥歯のぶつかりを失くし、すべての歯が同時に、同じ強さで接触したため、隙間がなくなった。
美しく口角に力の入った口元
左肩が下がっている。
左右のバランスが良くなった。
あごが上がっている。
正常になった頭位。
奥歯の悪い接触は、まったく目で見て判断することができません。当院のホームページの中にある、悪いかみ合わせによって起こること(矯正歯科が目指す理想的なかみ合わせ)をご覧頂き、思い当たる症状がございましたら、お気軽にご相談下さい。
すべてを客観的に目で見える化して、患者様にもわかりやすくご説明させて頂きます。
歯の接触というほんの些細なことが、患者様のお身体に、驚くような症状を引き起こすことがあります。
当院の知識と技術が、患者様のお悩みの改善にお役に立てれば幸いです。